#高齢者 #立ち上がり #歩行
高齢者の歩行能力が低下すると、日常生活の自立度は大きく低下します。
しかし歩行能力を考える際に見落とされやすいのが 立ち上がり動作 です。
実は立ち上がり動作と歩行は密接に関係しています。
歩行が不安定になっている高齢者では、立ち上がり動作にも問題が見られることが少なくありません。
そのため歩行能力の低下を考える際には、立ち上がり動作にも注目することが重要です。

なぜ立ち上がり動作が歩行能力に影響するのか
歩行は立った姿勢から始まる動作です。
つまり安定して歩くためには、まず 安定して立ち上がる能力 が必要になります。
立ち上がり動作では
- 下肢筋力
- 重心移動
- バランス能力
など多くの身体機能が働きます。
これらの能力は歩行にも必要な要素であるため、立ち上がり能力が低下すると歩行にも影響が現れます。
逆に言えば歩行能力が低下してきていると立ち上がりの能力も低下していることが多いはずです
立ち上がりと歩行に共通する身体機能
下肢筋力
立ち上がりでは太ももやお尻の筋肉が体を持ち上げる役割を担います。先ずは腰を持ち上げるために膝を伸ばす太ももの前の大腿四頭筋という筋肉が重要です。またその際足の裏をしっかり床につけて固定しておく足首周りの動きや力も必要になります。
また膝が伸びて腰が持ち上がってくると腰を伸ばして姿勢を起こすための大殿筋というお尻の後ろ側にある筋肉がないと前かがみのまま身体を起こすことができません。
歩行でも同様に下肢筋力が体を前に進める力、推進力を得るための下腿三頭筋になります。振り出すときにつま先をひっかけない為の前脛骨筋やバランスをとる為の股関節の内外転筋等。
そのため下肢筋力の低下は、立ち上がりと歩行の両方に影響します。
このことはロコモーティブシンドロームの判定に立ち上がりテストを利用することからも明らかです。
片脚または両脚で座った姿勢から立ち上がれるかによってロコモ度を判定します。
下肢筋力が弱まると移動機能が低下するため、立ち上がるのに困難がある場合はロコモの可能性があります。(日本整形外科学会より)
参考・引用:日本整形外科学会
ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトhttps://locomo-joa.jp/check/test/stand-up
重心移動
立ち上がる際には体を前方へ傾け、重心を足の上に移動させます。その時足でも踵からつま先にスムーズに体重をのせていき足の中心に重心がのることで足の力が効率よく働いて立ち上がる事が出来ます。
重心が後ろに残っていると手すりや介助者を引る、または立ち上がれれもすぐに後ろにバランスを崩してしりもちをつくことが多くなります。
歩行でも体重移動がスムーズに行われることが重要です。左右に体重がスムーズに移動できバランスがとれないと足を前に振り出すことができません。
またスムーズに足底の重心移動をするためには足関節の柔軟性も重要です。足関節が硬いと重心移動が困難になります。
重心移動がうまくできない場合、立ち上がりも歩行も不安定になります。
バランス能力
立ち上がり動作の最後には、立位姿勢を安定させる必要があります。立ち上がれてもその後ある程度立位を保てる持久力やバランス能力がないと日常生活動作や歩行につながりません。
歩行ではさらに片脚支持の状態が繰り返されます。片脚支持の度にバランスが保てないようでは安全に歩行することができません。その為には、股関節の内外転筋や足底、足関節回りの筋肉がバランスよく働くことも必要になります。
また歩行している間安全に立位を保てる持久力がなければ途中で膝折れや腰折れを起こして転倒する原因になります。
そのため立位を保って安全に重心移動ができるバランス能力の低下は歩行不安定の原因になります。
立ち上がり能力が低下すると起こる歩行の変化
立ち上がり能力が低下すると、歩行にも次のような変化が現れることがあります。
歩き出しが遅くなる
立ち上がりが不安定な場合、歩き出すまでに時間がかかることがあります。
立ち上がった後安定した立位が取れてない
- 前かがみの腰折れ状態(殿筋がが十分働いていないので足の振り出しが出にくい)
- 膝が十分に伸ばせていない(大腿四頭筋が十分に働いていない為膝折れの心配がある)
- 安静後足関節の動きが悪くなり踵の蹴り出しやスムーズなつま先の持ち上げができない。等
歩幅が小さくなる
下肢筋力やバランス能力が低下すると、歩幅が小さくなります。片足で安定して立ちバランスが取れていないと大きく振り出せません。
またバランスをとる為の下肢筋力が弱った状態では、股関節をしっかり伸ばして踵で蹴り出す歩行の推進力も得られません。
歩行が不安定になる
下肢筋力やバランス能力の低下があると重心移動が十分にできないと重心移動するたびに歩行中のふらつきが増えることがあります。ふらついた時バランスが取れないと転倒します。
また歩行の最中も安全に立位を保てる持久力がなくても、途中で膝折れや腰折れを起こしてしまうことがあります。
歩行改善のために立ち上がり評価が重要な理由
歩行能力を改善するためには、歩行だけを見ていても十分ではありません。
立ち上がり動作を含めた基本動作の評価が重要になります。
立ち上がり動作を見ることで
- 下肢筋力
- バランス能力
- 重心移動
などの状態を把握することができます。
立ち上がり能力を高めることが歩行改善につながる
立ち上がり能力を改善することで、歩行の安定性が向上することがあります。
例えば
- 立ち上がり訓練
- 下肢筋力訓練
- バランス訓練
などの取り組みが歩行改善につながることがあります。
このように基本動作の改善を重視したリハビリが、生活自立につながります。
なお、立ち上がり動作を“評価から組み立てる”という考え方に基づき、動作改善を段階的に支援する方法として「タキザワ式リハビリ」という実践モデルもあります。立ち上がりと歩行の関係性に着目し、自立支援につなげる視点を体系化している点が特徴です。
またこのプログラムで使用しているパタやコロの運動器具での運動は歩行自立度と相関しています。
まとめ/立ち上がりから安定した歩行を獲得するために
歩行能力の低下は高齢者の生活に大きな影響を与えます。
しかし歩行能力を考える際には、立ち上がり動作との関係を理解することが重要です。
立ち上がり動作には
- 下肢筋力
- バランス能力
- 重心移動
など歩行に必要な能力が含まれています。
そのため歩行能力が低下している場合には、立ち上がり動作を含めた評価と支援が重要になります。
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