滑車に紐をつるして腕を交互に引っ張り上げる運動です。医院やリハビリ施設やデイサービスに置いてあるのを見かけたことがある人も多いのではないかと思います。
リハビリ施設ではよく見かけますがご自宅での設置は少々難があるかもしれませんがホームセンターで扉につるす簡易なものも売っています。
タキザワプログラム(メソッド)の基本プログラムでもあります。滝沢恭子先生は大人数でするときは可動式の台に着けたプーリーをそれぞれの座っているところに動かして使用していました。
滑車を使った上肢の交互運動
紐を引っ張ることでもう片方の腕を挙上できます。現役で仕事や運動する機会が減ると腕を挙上する機会も減り、気が付かないうちに肩回りの可動域が狭くなっている方が多くいます。
肩関節周囲炎を起こしてリハビリに来られる方でもう一方の健側といわれる方の肩の動きも正常可動域動かせている方は高齢の人ほど少なくなります。普段から十分に動かす機会が減る上に肩関節周囲炎等のトラブルの後十分に動きが戻らないまま放置されていることが多いです。
全部動かなくても大概は問題ありませんが、それだけ動かす機会が減り慢性の肩こりで困っている人は多くいます。プーリーでしっかり腕を動かすことで血行が改善され肩の動きも自分のペースで改善、悪化を防ぎます。
私の運営していたデイケアでは10分を目安に運動してもらっていましたが初めての人や疲れやすい人は1分でも2分でも自分のペースで動かしてください。肩こりの人はこの運動することで楽になったという人もいました。とりあえずは楽に動かせる範囲を少しずつ増やすつもりで動かしましょう。
また、四十肩や五十肩の方にもおすすめです。私自身も何度か発症しましたがこの運動をすることで肩の動きを維持しながら炎症が治まるのを待っていると(3か月から6か月くらい痛みは続きますがその間痛み止めの塗り薬を併用する時もありましたが)悪化させずにことができました。
また腕の骨折をして固定した人で肩の動きが悪くなってしまった人にもお勧めします。
また片麻痺等麻痺のために吊り具を持ちにくい人も補助具を利用(カラビナに輪をつけて手首を通して吊る方法もあります)することで麻痺のため動きにくい腕の動きを維持できます。また吊り具を自分で意識してしっかり持つことを意識することで握力や機能が改善した人もいます。

福井國彦先生の論文の上肢交互性の反復運動による効果かもしれません。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/brj/3/1/3_1_27/_pdf/-char/ja より引用
しっかり動かすと痛みで縮こまって猫背になり動きの悪くなった胸郭の動きを拡げます。ゆっくり深呼吸をしながら行うと胸郭を拡げて、呼吸機能の改善にも役立つと思われます。特に圧迫骨折で背中が曲がっている人やパーキンソン病などで姿勢が悪くなっている人は呼吸機能の維持のためにもお勧めです。
姿勢を意識して伸びあがりを意識すると、坐位姿勢の矯正や立位姿勢の改善にも役立ちます。椅子の背もたれから少しでも背を離すことで背骨を支える筋肉にも刺激が入り血行を改善することも期待できます。
骨粗しょう症の治療をしていても肝心の骨にお薬が届かなければ効果が期待できません。いろいろな運動の種類を増やして刺激を増やして血流を良くしましょう。
仕事を引退して家でテレビばかり見ていると腕を動かす機会も減ります。今まで高いところのものをとったり、窓を拭いたり自然と使っていた時は腕の力も動きも悪くなることはありませんでしたが、知らず知らず動かさないうちに肩の動きが悪くなっている多くいます。
肩は自由度の高い関節で前や後ろへの挙上(屈曲伸展)の他にも横への挙上(内外転)内外旋というひねりの動きや水平内外転という上肢を持ち上げた位置で内外に動かす動きもあり、さらに肩甲骨の動きも絡んでくるいろいろな動きのある関節です。しばらく動かしていないのに前のように動かせると思ったら肩を痛めてしまうことがよくあります。余裕があればなるだけいろいろな方向に動かしましょう。

関連書籍

寝たきり老人を歩かせる
―歩行のための理学療法システムの提案と実践
21世紀リハビリ研究会【著】
シビル出版(1996/04発売)
サイズ B5判/ページ数 129,/高さ 24cm
他にもリハビリのコツに興味を持った人には
- 要介護の手前のフレイルは高齢になると誰でもなる可能性有―食事と運動で予防改善
- 立ち上がり動作に必要なことー高齢になって立ち上がれない時やそれを防ぐために
- なぜ単純な運動プログラム(タキザワメソッド)で立ち上がり歩けるようになるのか
- 軽い運動と思うものも意外と効果がある-座ったままで器具を使った運動から散歩まで
- 柔軟性を保つにはー高齢になり身体を動かす機会が減ると関節の動きが悪くなります
座ったままから運動を開始できるタキザワプログラム(メソッド)に興味を持った人には
- お勧め理由―座ったまま器具を使ってすぐできる運動は隙間時間を有用に埋めます
- お問い合わせ
- タキザワプログラムー超高齢社会は介護してくれる人も高齢ー自分でできるリハビリ
- 立ち上がり動作との関連性-立ち上がれない時何ができていないかチェック
- 運動の種類ー簡易な器具を使って座ったまま始める立ち上がりサーキットトレーニング
ホームに戻るには




コメント