#高齢者 #背中が曲がる(円背) #リハビリ
高齢になり家や施設で座っている時間が長くなってくると、また歩いているけど下を向いていることが多いと首を持ち上げるための後ろ側の筋肉が弱くなってしまい、知らず知らずのうちに背中が丸くなって姿勢が悪くなってくる人が大勢います。
特に腰痛や圧迫骨折のある人は姿勢が悪い=背骨に負担をかけるそして骨粗しょう症などがあると背骨自体が変形していくという悪い連鎖が待っています。また脊柱管狭窄症のある人は腰を少し丸めた姿勢をする方が痛みが少ないので前かがみになりますが、度が過ぎると身体が起こせなくなってきます。
高齢になったのである程度仕方ない(背骨が変形して矯正しきれない)部分はあると思いますが程度がひどくなると寝返りが困難になったり、歩行等に問題が出てくる人もいます。
またデイケアの経験からは背中が曲がってくると食事の際の食べ物の詰まった感じ(逆流性食道炎)、のどのつまり(誤嚥)や胸郭の動きが悪くなって呼吸が浅くなる人や側弯になる人が増えてきました。
ではどうすれば良いのか?
背中が曲がってきた時行う運動(リハビリ)ー肘立て位
朝起きたらまずはベッドでうつ伏せの姿勢になりましょう。背中が曲がってきているとも薄手のこの姿勢が取れなくなっている人もいるかもしれません。そういう人でも四つ這いが取れれば四つ這いから、それが難しければ坐位での運動からはじめましょう。
顔が布団にうずまらないよう横を向いて気道を確保しましょう。この姿勢に慣れない時点で背中の曲がりが進んでいる証拠です。
できれば両肘を立てて肘立ての姿勢になりましょう。しんどければ10秒→30秒→1分→2分→3分と時間を伸ばしていきましょう。

この姿勢をとることで曲がってきた背骨の曲がりがある程度リセットできます。圧迫骨折のある人も痛みが落ち着いて治ったら(おおむね4週間以降)それ以上に背中が曲がるのをある程度防げます。
肘立て姿勢を保つことで弱ってきた背筋や肩回りの腕を支える筋肉を鍛える効果もあります。昔は難なくできていた格好がいつの間にかできなくなっているのは筋力や柔軟性が衰えている証拠です。自分のペースで少しずつ頑張りましょう。
布団で身体の温まっている朝がおすすめですが、寝つきの悪い人は夜寝る前でもよいかもしれませんね。
少し余裕が出てきたら無理のない範囲で首を持ち上げて前を見ましょう。時計を少し手前の枕の上において時々時間を見ながら1分→2分→3分位でよいです。右横や左横、右手前、左手前と見る位置を変えて首の後ろの筋肉も鍛えましょう。
背骨が曲がって下ばかり向いていると首の筋肉も弱ってしまい首を持ち上げられない人が時々います。肘立ての姿勢で首を持ち上げておくのがつらい人は要注意です。
この姿勢はパーキンソン病や前傾姿勢で歩行が前のめりになる人にも大変有効です。
背中が曲がってきた時行う運動(リハビリ)ー四つ這い位
もうすこし余裕がある人は四つ這いの姿勢をとりましょう。。
先ずはおへそを除くように背中を丸めたり、前を向いて背中をそらしたりゆっくり呼吸しながら行いましょう。そのあとは右手、左手、右足、左足と5秒くらいずつ上げてみましょう。5秒→10秒→20秒と持ち上げた姿勢が保てるようになると姿勢を保つ身体の後ろ側の筋肉が強化されていきます。
さらに余裕ができれば右手と左足、左手と右足というように交互に同時に持ち上げましょう。ここまでできればいうことはありません。

背中が曲がってきた時行う運動(リハビリ)ー坐位で意識すること
座っている時先ずは背もたれにもたれかかる時間を減らしましょう。背もたれか背中を離すと脊柱起立筋や腹筋などの抗重力筋が働かないと姿勢が保てません。もたれかかっている時間が長いほどこれらの背骨を支える筋肉が弱っていきます。
これらの姿勢を保つ筋肉は瞬発力ではなく持久力がいりますのでキッチンタイマーを利用したり、時計を見ながら、テレビを見ている人はコマーシャルが入ったらその時間の間とか目標を決めて徐々にもたれかかる時間を減らしましょう。
背もたれから背を離すときに骨盤が後ろに倒れていると姿勢を保つのが大変です。骨盤を起こして太ももと背骨が直角になるよう意識しましょう。
この骨盤を起こして背骨を安定させるには大腰筋が関わっています。こうして骨盤を立てて保つだけでも、この筋肉の持久力が鍛えられます。腰の横の骨盤に手を添えてできれば直角に起こすように意識してください。

骨盤を正しい位置に保つこと=腰痛を予防するのに重要な要になります。骨盤が前に倒れていても後ろに倒れていても腰椎という腰の骨に負担がかかります。
腰に負担をかけないよう良い姿勢で座る、座っている時間が長くなればなるほどこの骨盤の位置を保つための筋肉には持久力がいるので少しずつ良い姿勢で座る時間を伸ばしましょう。
背中が曲がってきた時行う運動(リハビリ)ー坐位での伸びあがり
もう少し余裕のある人は両手を座面について思いっきり上に伸びあがりましょう。ひじ掛け椅子に座っている人は、ひじ掛けにひじや手をついて、頭頂部の髪の毛が上に引っ張られている感じです。そして支えている手を放す。その時に一気に背が縮まってしまう人は背骨を支える脊柱起立筋や腹筋が弱っている証拠です。

座面から手を放しても姿勢が保てたらおへその下に両手を当ててへっこませながら上に伸びあがります。女性の場合胸が張り出しておへその位置が見え無くなれば正解です。そして徐々にこの伸びあがった姿勢が取れる時間を増やしていきましょう。
余裕があればこの姿勢のまま腕を交互に上に持ち上げるなどの運動をしてもこの伸びあがり姿勢が保てれば上級者です。
タキザワプログラムのような座ったままできる運動の間も姿勢を少しずつ意識しましょう。 とにかく、姿勢を保つ=持久力が必要です。なるだけ意識して1日に何度でも、少しずつ意識していきましょう。
又、運動の際痛みの出やすい人や身体の硬くなっていると感じる人はお風呂の後や湯たんぽ、市販のレンジホットパック等で温めてから行うと良いです。
背中が曲がってきた時行う運動(リハビリ)ー立位で意識すること
立ってできるのはまずは壁に背中をしっかりつけて立ちましょう。
広い壁がなければ柱でも構いません。踵の後ろを壁につけてまっすぐ立てないともうすでに背中が曲がり始めています。猫背の人は肩甲骨が壁につかなくなっていることがありますのでチェックしてください。
背中の曲がりが気になる人はすでにぴったりつくことが困難になっていることが多いはずです。でも今より悪くならないように意識を始めることが最初の第一歩です。


首を伸ばす筋肉が弱って、すでに曲がって変形してきている人は背中をぴったりつけると頭はもう壁につかなくなっているかもしれません。そういう時は無理に首をそらして壁につけようとせず、顎を引いてなるだけ上に伸びあがることを意識してください。

踵を前にずらしたら背中がぴったりつくなら背中をつけたまま少しずつ踵を壁に近づけていきましょう。その時鏡等があれば自分の姿勢をチェックしながら行えるのでできれば鏡の見えるところで行うと良いでしょう。
よくリハビリ施設にある大きな鏡は姿勢矯正鏡といいます。百聞は一見に如かず。この方法も自分で無理のないところから時間を増やしていきましょう。
この壁に背中をつける方法はタキザワプログラムを行っていた滝沢恭子先生が実践していた方法です。病気で栄養状態が悪くなり、何度も脊椎の圧迫骨折や大腿部の骨折をされていましたが、自分で歩いてトイレに行き、座った姿勢もきれいでした。姿勢の話をすると自ら歩いて玄関に行って玄関口の鏡を見ながら柱に背をつけて「こうやって練習しているのよ。」と教えてくれました。大切な最後の思い出です。
良い姿勢を保つのには耐久力がいります。少しずつ背中をぴったりつけて立てる時間の耐久力を伸ばしていきましょう。最初は1分でも2分でもできれば5分、10分と伸ばしていきましょう。耐久力がないと歩いているうちにどんどん背中が曲がっていきますよ。
背中が曲がってきた時行う運動(リハビリ)ー立位で壁に向かって立つ方法
もう一つは逆に壁に向かって立ってなるだけ高いところまで手を上げます。デイサービス等の施設で肋木がある場合は一番高くまで手を伸ばして持てるところを持ってそのまま無理のない範囲でその手先を見るように姿勢を保ちます。
タキザワプログラムでの肋木を使って立つ訓練をするときにも背中の曲がりが気になる人はなるだけ手の挙げられる上の段を持って目線を上に向けるように意識してください。
キッチンタイマー等で目標時間を少しずつ伸ばしていきましょう。良い姿勢で立つのも持久力が必要です。そして余裕が出てきたら、交互にその手をさらに後ろにそらせたり、足を交互に後ろに持ち上げましょう。姿勢を伸ばす筋肉がさらに強くなり、姿勢矯正ができます。

背中が曲がってきた時行う運動(リハビリ)ー立って行う運動応用編
立ってできる運動編1で立った姿勢の持久力がついてきて手を放して、もしくは壁から背を離して立てるようになってきたら、別の方法として、立った姿勢でおへその下に両手を当てて押しながら下腹部を引っ込めましょう。
そしておなかと背中の筋肉に力を入れて伸びあがりましょう。胸が前に張り出しておへそが見えなくなる程度まで伸びあがれたら、そのままの姿勢で1分→2分→3分と時計を見ながらキープできる時間を伸ばしていきましょう。この時もあれば鏡を見ながら行うとより効果的です。

下腹部を抑えなくても力を入れる感覚がわかってきたら手を添えなくても大丈夫です。
下腹部に手を添えなくても姿勢が保てるようになってきたら、そのまま肘を曲げた腕を横に開いてそのまま上に挙上し、腕を伸ばしたまま水平におろす、正にラジオ体操のような運動をしてみます。
もちろんその間に姿勢が崩れないように意識しながら行いましょう。次は両手を腰に当てて胸を前にそらせながら、肘を後ろに引く運動をします。この運動をしている間に背中が曲がってこないように腹筋と背筋の伸びあがり(遠心性収縮といいます)を意識しながら行いましょう。

次は腰に手を当てたまま右足を前に持ち上げる運動、次は左足。今度は右足を横に持ち上げる、次は左足。その次は右足を後ろに持ち上げる運動、次は左足。という具合に5回から10回行って下さい。回数は自分で加減しながら5回から10回。
軽いスクワットや踵を持ち上げて落とすようにおろす運動も良いです。要は手足を動かすときにも姿勢を崩さずに姿勢を保つ練習をしながら必要な筋肉を鍛える運動です。
仕上げに手放しのまま後ろ歩きができるように練習しましょう。背中が曲がってくると身体の後ろ側の筋肉を使うことが少なくなります。体の後ろ側の筋肉を活性化してバランス能力を鍛えることでさらに背中が曲がることを予防していきましょう。


運動は転倒しないよう最初のうちは手すりのある所や手すりにつかまって行ってください。徐々に様子を見ながら手すりに頼ることを減らしていきましょう。タキザワプログラムの歩行訓練にも横歩きや後ろ歩きが含まれています。姿勢を意識して行うとより効果的ですよ。
参考図、文献:公益財団法人日本理学療法士協会 理学療法ハンドブック1健康長寿より
https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook01_16-23_compressed.pdf
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