平行棒内(又は手すりを使った)歩行練習―立つことが苦でなくなってから始めよう

平行棒を持って立位をとる練習をしているイラスト タキザワプログラム関連

#高齢 #久しぶりの歩行 #歩行訓練

高齢になり病気や骨折などでしばらく歩かないうちに立つことや歩くこと不自由(不安定)になってきたらどういう歩行練習から始めるのが良いのでしょう。ここでは滝沢恭子PTが行っていたタキザワプログラム(メソッド)の経験を交えて解説します。

まだ立ち上がりや立つことが不安定な人は座ってできるタキザワプログラム(メソッド)から始めましょう。

歩く練習(歩行訓練)は立っていることが苦じゃなくなってから始めよう

 立っていることが苦じゃなくなったら歩きます。立っている時間の目安は歩きたい時間プラスα必要です。プラスαは不測の事態に備えての時間です(部屋の中なら2分位でしょうか)。立てるようになるとすぐ歩きたくなるのが心情ですが長く立っていられないのに歩くとすぐに膝や腰が折れて転倒の原因になります。(勿論、訓練士がついて安全におこなえる時は別です)

立ったまま左右に重心移動して片足でも支えられる力があることを確認しましょう。

平行棒を持って左右に体重移動する練習をしているイラスト

訓練設備のある所ではポピュラーですが自宅などでは廊下の手すりのある所や動かないテーブルや家具を利用してください。それこそどこでもタッタの練習場所にしてしまう赤ちゃんの気分で立つ練習、手放しで立つことが十分にできていたらいざというとき手をつける壁のある廊下でもできるかもしれません。

手すりが片方しかない場合は先ずは伝い歩きで横歩きをしましょう。一歩踏み出したら足を揃えます。続けるところまで行ったら戻ります。右に行ったら左へというように往復を繰り返してください。疲れたら椅子で一休み。横歩きはバランスをとるのに必要な股関節の外転筋の強化とバランスの練習に役立ちます。

手すりを持った時の横歩きの足運びのイメージ
手すりを持った時の横歩きの足運びのイメージ

歩行訓練は前に進むだけでなく後ろ歩きは重要です

次は前に進みます片方しか手すりや台がない場合方は手放しができるようになったら片手を離して前に進みます。(施設等で平行棒で練習できる場合はこれから始めても良いです)進めたらできたら今度はそのまま後ろに戻りましょう。後ろ歩きは普段しない動きなので手すりを持って慎重に始めてください。

後ろ歩きの足運びのイメージ
後ろ歩きの足運びのイメージ

後ろ歩きは腰が曲がり猫背になって若いころのように普通に歩いただけで使用していた身体の後ろ側の筋肉強化や平衡感覚を整えて、歩行の際の安定性とバランス感覚の改善が期待できます。

私の経験ではパーキンソンや姿勢が悪くなって突進歩行と呼ばれる前のめりの歩行になる人にこの練習を一緒について練習するとその直後に歩行姿勢やバランスが良くなるのを何度も経験しています。転ばないように手すりや台を持ちながらでも少しずつ練習して下さい。手を放してもこれができるようになったら家の中ではかなり自由に動き回れるはずです。

手を放して(フリーハンド)で立てるようになりましょう

それから手すりを持って余裕で移動ができるようになったら少しずつ、手すりから手を放しましょう。できれば、最初は歩かないで少し手放しで立っていられるよう練習しましょう。

手放しで立っていられるということはセルフケアに重要です。下着を上げ下げや、顔を洗ったり、歯を磨いてうがいをしたり、手放しで立てるととても楽にできるようになります。できれば30秒→1分→2分→3分→5分と意識して手放しで立てる時間を伸ばしましょう。自分で行いたいセルフケアに必要な時間の倍くらいは余裕で立っていられると安心です。

長く安全に立っていられるようになることはすなわち家で安全に移動できることにつながります。立てるようになると歩行器を使ってでも早く歩きたい心情はわかりますが、しっかり立っていられないうちに焦って動き回ると、途中で疲れて不安定になり転倒する原因になります。

転倒するとダメージを受けてこれまで頑張ったリハビリが後戻りしてしまう原因になるので気をつけましょう。

まずはそこのところしっかり念頭に置いて疲れて座っても安全なところで(ベッドの横等)少しずつ耐久性を上げてください。いっぺんに頑張って疲れてドスンと座ると圧迫骨折の原因になりますので少しずつ時計を見ながら頑張りましょう。私の経験上ではキッチンタイマーがあると便利です。

立位時間が伸びてから歩行器や手すりを伝って安全に歩いて立っている時間を増やしていきましょう。

経験的にはたとえ平行棒の中でも立って歩くことができるようになると皆、表情が明るくなります。車椅子では得られない視界の高さや基本欲求が満たされるのかもしれません。なので実用歩行に至らない人でも歩行訓練は重要です。立っていられるとケアもしやすくなります。ぜひ立ち上がりましょう。もちろん転倒しないことが前提ですが・・

参考・引用:後ろ歩きのメリットhttps://www.womenshealthmag.com/jp/fitness/g44486403/could-walking-backwards-improve-your-fitness-20230804

タキザワプログラム(メソッド)に興味を持った人には

関連書籍

寝たきり老人を歩かせる
―歩行のための理学療法システムの提案と実践
21世紀リハビリ研究会【著】
シビル出版(1996/04発売)
サイズ B5判/ページ数 129,/高さ 24cm

ホームに戻るには

立ち上がり歩くためのレディメイドリハビリプログラム-タキザワプログラム(メソッド)
高齢者でも安全に行える立ち上がりのリハビリプログラムの紹介

コメント

タイトルとURLをコピーしました