#歩行速度 #高齢者 #リハビリ
高齢になってくると徐々に体幹の前傾が強くなり円背が強くなっている人を多く見かけます。姿勢が円背気味に変化してくると、歩行の際の歩幅が狭くなってきます。また膝痛や腰痛で柔軟性が低下したり筋力が低下してバランスが悪くなってもと歩幅が狭くなります。
歩幅が狭くなると同じ歩数で歩ける距離が減って結果歩行速度が低下してきます。昔はらくらく渡れていた横断歩道が渡り切れなくなると不便だし外出しづらくなりますね。
歩行速度と寿命(健康長寿)の関係
歩幅が低下すると同じペースで歩いた場合進める距離が短くなるため結果的に歩行速度が遅くなります。また歩幅が狭くなると必然的に股関節や膝関節、足関節の動かす範囲が狭まるために、同じように歩いていても関節が十分動かせていないためにそれらの関節の動きが悪くなっていきます。
また若いころと同じように歩いているつもりでも、運動範囲が狭くなればその分の運動量が減り、筋力や可動域が低下して足を引きずりやすくなり、下肢の支持時間が低下してバランスが悪くなっていきます。そうなってしまうと自然と足を振り出すペースもゆっくりになりさらに歩行速度は低下していきます。
姿勢が丸くなってくると足を振り出すのに太ももを引き上げる必要が出てきて引き上げが足りないとつま先を引きずりやすくなり歩幅も短くなります。試しに伸びた姿勢と曲がった姿勢で3mぐらい歩いてみると歩数の違いが実感できると思うのでやってみてください。
若いころと同じように歩いている(歩けている)つもりでもいつの間にかこういう変化が起きている可能性があります。手っ取り早いチェックの方法としては、歩行速度です。フレイルの判断基準でも5mの距離で5秒以下が判断基準の指標になっています
日本の道路横断には1.0m/secの歩行速度が必要である。(*1)街にある横断歩道の信号もこの基準で作られているようですので、横断歩道を渡り切るのが困難になってきたら要注意サインです。フレイルの判断基準も、この歩行速度以下になっています。
最近欧米で、数万人の成人や高齢者を10~20年間追跡した大規模な研究が数多く報告されています。歩く速さが健康や長寿に大きく関係しており、さらには寿命を予想できるかもしれないという内容です。

引用参考:岐阜新聞web 教えてホームドクター 歩行速度と寿命

NILS-LSAの1回目の調査とその14年後に行なった調査のどちらにも参加してくださった961名(男性466名、女性495名)の方々の、筋力、歩く速さ、バランス能力と「自立した生活を送る能力」との関連について分析した結果。

女性では、速く歩くほど「自立した生活を送る能力」は低下しにくく、バランス能力が低い人ほど「自立した生活を送る能力」は低下していました。一方、その調査に関しては男性では、歩く速さやバランス能力と「自立した生活を送る能力」との関連はありませんでした。しかし、男性より長生きすることの多い女性にとっては自立した生活を送る為の重要なポイントともいえます。
参考、引用:国立長寿医療研究センター/速く歩けること、バランスを保てることの大切さ
歩行速度を上げるためのリハビリのコツ
では歩行速度を上げれば良いと姿勢が悪く柔軟性が低下した状態で歩幅のみを意識して広げると反って体のあちこちに不調が起こってしまったという方がデイケアに来られていた方にも何人かいました。
また膝痛や腰痛、足関節や股関節の不調からも姿勢が丸くなったり柔軟性や筋力低下して歩幅が低下してこのループに突入しやすくなります。
体調不良や食欲不振による筋力や体力の低下からも歩行速度は低下します。
歩行速度の低下がみられるフレイル、サルコペニアを予防するには、立つ・座る・歩くなどの基本的な移動機能に必要な下肢や体幹の筋肉の筋力トレーニングが有効とされています。とくに姿勢を保つための抗重力筋である下腿三頭筋、大腿四頭筋、大殿筋、中殿筋、前脛骨筋、ハムストリング(腿の後ろの筋肉の総称)などの筋肉、体幹の姿勢保持が重要になってきます。
歩行速度を意識して歩幅を拡げるためにはできるだけ前かがみの姿勢を改善して、関節を柔軟に保つことが重要です。
また歩行している間なるだけ良い姿勢を維持するには持久力がいります。これは一朝一夕ではできないので普段から姿勢を意識して整えて自分が歩いて移動したい時間程度は保てるようにしましょう。
腰痛膝痛などは早めに治療しましょう。膝痛腰痛があると歩くこと自体が苦になる事も多く健康長寿の妨げになりやすいやっかいものです。
手軽に座ったまま行える(関節に負担のかからない)運動、立ち上がり座る運動、良い立位姿勢を保つ練習等痛みの起こらない範囲で筋力低下を防ぎましょう。
そして運動するにあたっては十分な栄養、たんぱく質やカルシウムなどの補充を忘れずにしてください。これができていないと折角頑張って行った運動により強い筋肉や骨に再生する材料不足でかえって身体の消耗してしまいますので要注意です。
参考・引用:道路横断に必要な歩行速度と下肢筋力の関連 理学療法学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/28/2/28_KJ00001309618/_article/-char/ja
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