高齢になって転倒すると大きなダメージを受けます-転倒の原因の対策しましょう

転倒する時のイメージのイラストです 経験からリハビリのコツをアドバイス

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転倒を予防しましょう。とよく言われますが、転倒したくて転倒している人はいないし人やモノにぶつかられて不幸にも転倒することもあります。特に高齢の方は転んだらおしまいと必要以上に慎重になっている方に多く接してきました。

転倒すると骨折や打撲などのダメージを受けることが多く、特に骨折すると不可逆の機能低下をしてしまうことがある為可能な限り避けたいのは事実です。

高齢者はなぜできるだけ転倒を予防しなければいけないのか

デイケアに来られていた方には転倒による骨折がきっかけで要支援や要介護になり来所される方が多くいました。骨粗しょう症が始まっていると若いころは同じ転び方でも骨折に至らなかったのに簡単に骨折してしまうことがよく起こります

骨も筋肉と同じように、骨形成と骨吸収を繰り返している組織で年間では20パーセントが作り直されるそうです。若い頃は大丈夫でも年齢が上がると弱ってきやすい組織です。女性は閉経後、男性でも仕事お引退した後座っている時間が長く、体調を壊して臥床がちになっている人、急に体重が減った人は注意が必要です。

ドスンと腰を下ろしたことで脊椎の骨がつぶれた(圧迫骨折)の人も多くいました。厄介なのはそのくらいで骨折していると気づかず腰の痛みで受診したら圧迫骨折していた又はそれにも気づかず痛いので動けないうちに身体の機能が弱っていって要介護状態になる。という要介護の入り口になる人が多いからです。

何気なく座る動作も筋力が落ちてくると途中で脱力したり、座るだけだから大丈夫と思ってドスンと座ると骨密度の低下した背骨がつぶれるように骨折することがあるので要注意です。

また私の父は横断歩道の段差でつまづき、ちょっと手をついたことで橈骨の遠位端骨折をしました。これもよくある骨折でそれを見ていた母もまさか骨折していっるとは思わなかったようです。

タキザワプログラムの滝沢恭子氏も立ち上がり際に不意に転倒して大腿骨頚部骨折しました。

また運よく骨折に至らなくても打撲痛や転倒への恐怖から活動量が減る人もいます。そうするとますます身体機能が低下して転倒の危険性が高まる悪循環が始まります。

転倒したことによる負の循環をイメージした図です

高齢者が転倒する原因について

また介護保険のデイケアでは目標に転倒予防を上げる必要が多くあってよく悩みました。転倒の原因としては

  • 筋力低下:高齢になるとサルコペニアという加齢によって筋肉量が減少し、筋力低下や身体機能が低下する現象が現れますので日ごろから運動や栄養に気を使っておかないといつの間にか筋力が低下していて昔はこの程度では転ばなかったという動作で転倒する機会が増えます。また、ゆっくり座るにも筋力がいるので椅子にドスンと座ることでも背骨の圧迫骨折を起こすことがあるので要注意です。
  • バランス障害:これも筋力低下や活動が減ってきたために関節の柔軟性が失われてバランスが取れなくなってくる。下着を履こうとして足を上げたらバランスを崩しそうになったら転倒危険サインです。介護予防では片足立ちが30秒切ったら要注意レベルというのが基準です。
  • 足首の関節が固い:歩行の際のけりだし(大きく踏み出す為に踵を上げて下腿の後ろ側の筋肉で推進力をつけます)ができず、つま先がひっかかり(下腿の前側の筋肉でつま先を上げてつま先をひっかからないようにする)転倒しそうになる。その時の姿勢の立て直しが困難になっていると転倒します。
  • 視力、聴力障害:加齢により白内障や緑内障などで視力が低下し、段差に気づかない。難聴気味になり周囲の音や警告に気づかないなどの危険察知能力が低下する。
  • 薬剤:夜眠れない為処方された薬剤を明け方に目が覚めて眠れないと再度服用してしまうと朝にも作用が続いてめまいやふらつきで転倒することがあります。
  • 環境:動線に物が置いてある、手すりなどが適切に配置できていない。
  • :そこがすり減って滑りやすい状態になっている。履きやすさ脱ぎやすさから紐やチャックが開いたままになっている。等デイケアにも靴の後ろを踏んだまま来ている人がいました。

ざっとこんな感じで原因があげられます。

高齢者の転倒を防止するための対策

それらに対して

  • 筋力低下→運動習慣と筋力強化、適切な栄養摂取を勧める。週に2回くらいはまとめて運動する(2.3日おき)もしくは毎日少しずつ運動する習慣を身につけましょう。適切な栄養摂取で適正体重を保つ。太りすぎ(BMI25以上)は関節への負担で痛みが出やすく関節痛、やせすぎ(BMI20以下)の方は骨粗しょう症による骨折によりデイに来られる方が多かった印象です。
  • バランス障害→片足立ちでのバランス練習や平行棒内の前後歩行や横歩きの練習*。バランスパットと呼ばれる柔らかい台の上での立位をとる練習や、危険ない範囲で運動してもらう。
  • 足首の関節が固い:足関節などの関節は毎日全可動域(動かせる範囲をすべて)動かすことで動きを維持することができますのでパタパタの運動*コロコロの運動*(タキザワプログラムの定番の運動です)が最適です。ついでに筋力低下も予防できますので一石二鳥です。麻痺がある人や腰痛膝痛で姿勢が悪くなりやすい人にはストレッチボードの併用もおすすめです。
  • 視力聴力障害→白内障など適切な時期に手術を受ける。補聴器の利用を勧める補聴器は早めに使用開始しないと聞いて理解する力も低下します。
  • 薬剤→眠剤はドクターの指示のあった時間以外は飲まない。(夜間眠れないと重複して飲むと朝に薬の作用が残り転倒する人がいること)飲みすぎはめまいや転倒の原因になることを説明する。
  • 環境→環境整備(手すりの配置)や夜間などは歩行器を利用する。ポータブルトイレなど移動の少ないものにする。
  • →脱ぎ履きしやすく滑りにくいものを勧める。チャックやマジックテープ、ゴムがついていて着脱しやすいデザインの靴がおすすめです。

以上が私の行っていたデイケアでの転倒予防プログラムと指導の一部です。

この他にも骨折しにくくするための骨粗しょう症の治療食事住環境の整備などありますがそれぞれの専門や家族にお任せしなければならないことも多いです。しかし後で後悔しないようできる対策はしましょう。

引用・参考 公益社団法人日本理学療法士協会 理学療法ハンドブックシリーズ

シリーズ1 健康寿命    シリーズ18 転倒予防

理学療法ハンドブック|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会
理学療法を知るツール、「理学療法ハンドブック」のページです。ハンドブックシリーズについてご紹介します。

骨折しても再び立ち上がり動ける身体になりたい人にはタキザワプログラム(メソッド)がおすすめです

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