#高齢者 #立ち上がり #リハビリ
高齢になると身体のあちこちで不具合が起きやすくなります。足腰の痛みや白内障による入院や転倒による骨折、歯の痛みで食事が十分にとれなくなる、不意の転倒‥等。
ちょっとしたことがきっかけで臥床が続いているとあっという間に立てなくなった。もしくは立ち上がれるけど不安定ですぐ転んでしまったということが誰にでもおきやすい状態になります。本人的には急なことでも実は心身活動が徐々に低下してきていたところにきっかけが起きただけだったりします。
立ち上がりにくくなったと感じたら早めにリハビリを始めましょう。
ここでは昭和から平成に滝沢恭子先生が道具や器械の少ない地域の訓練会や老人病院、老人保健施設、老人ホームなどでたくさんの患者さんを一人で歩行できるように導いたリハビリプログラムを息子茂雄さんが体系化したプログラムを解説します。
簡易な器具を用いることでどこでも誰にでも始めやすく効果のあるプログラムなので動けなくなったとき、できればそうなりそうな手前に行うとより効果的です。
立ち上がる前に安定して座っていられることが肝心です
座っている姿勢がつらい人はまずは背もたれやひじ掛けのある椅子や車いすでクッションなどを利用してまず半日3時間以上は座れるように少しずつでも増やしましょう。
坐位姿勢が悪く横に傾きやすい、背中が曲がって背もたれに当たって痛い場合は三角クッション等で調整してまずは座れる時間を増やしましょう。長く坐位を保つためには横に傾く、背中の出っ張りが背もたれに当たっているなど苦痛があると長く座れません。椅子のクッションを工夫するだけで長く座れるような工夫も大事です。

座っていられない人や背もたれから背を離せない人は、もうすでに歩行するための体幹の筋肉が弱っています。その状態で無理に歩行していると背骨を支える体幹筋力が弱っているため腰痛を起こしやすくなります。歩行器にもたれかかりすぎて、肩や手首に痛みが出る人が多くいます。
背もたれにもたれて何とか座れるようになってきたら少しずつ背もたれから背中をはなす時間を増やしましょう。
立ち上がりに必要な前屈動作(重心を前に移動する)のリハビリ
こんにちはというのは挨拶するように体幹を前に倒しておじぎする動作です。
立ち上がりが困難になっている人には骨盤が後ろに倒れた円背になっている人、臥床時間が長く股関節が固まって十分に曲げることができなくなっている人、腰痛で背骨の動きが悪く腰背筋のかたくなっている人等が多いです。腰が十分に曲げにくくなると座って靴を履く動作が十分にできなくなっていることが多くあります(床に置いてある靴に手が届かない)。
少しずつでも深くお辞儀ができるよう練習しましょう。大腿部に胸をつけるイメージです。おじぎの動作で背もたれから背を離せるようになったらできればそのまま姿勢を保てるように意識しましょう。背もたれにもたれたまま立ち上がれる人はいません。もし背もたれにもたれたまま立ち上がると不安定な椅子なら後ろに倒れて同時に転倒してしまいます。

またこの動作は立ち上がる時足全体に体重をかけるための前方への重心移動の動作でもあります。この動作ができずに背もたれにもたれかかっていると立ち上がりにくく自分で立ち上がる人は手すりや歩行器を引っ張ることになり腕への負担が増えます。引っ張ったものが不安定な場合転倒の原因になります。
介助してくれる人がいる場合も介助してくれる人の腰の負担になります(手すりの代わりに介護者が引っ張られる)。しっかり体幹を前に倒してもらってから本人の足に体重を乗せて立ち上がってもらうことで介護者の腰の負担が減ります(体幹を前に倒すことで重心が立ち上がる人の足の中心部に移り立ち上がる人の足の踏ん張りを誘導します)。
筆者の運営していたデイケア施設では机をタオルで奥まで拭く動作をする練習で代用していました。この方法にすると普段食事に使っている机を利用して簡単に運動できます。できるだけ遠くまで手を伸ばして拭くように片麻痺の人は麻痺のある手にないほうの手を添えて行ってください。
麻痺のない人も同様に両手でしっかり遠くまで腕を伸ばすようにしましょう。両手にタオルを持って対称運動で行ってもいいですよ。私の運営していたデイケアは壁に向かっておいてある斜めのテーブルで10分程度運動していました。
デイケアの利用者さんには雑巾がけとか台拭き等といわれてました。目の前に脳トレの問題を貼っておくと頭の体操もできるのですが、頭の体操に集中しすぎて手が止まってしまう人もいましたが愛嬌です。

またこの運動は元々片麻痺の人の上肢の運動や肩関節症等の肩の可動域維持改善にも使われていた運動ですので平なテーブルの上でも始められる運動として簡単に始められます。

座れている人も余裕があったらできるだけ背もたれから背中を放している時間を増やしますそうすることで体幹を支える筋肉の持久力を上げることができます。
立ち上がる前にまず立ち上がった時の体幹を支える筋肉がなければ立ち上がった後の立位が保てません座っている状態で背もたれにもたれない時間を増やすためにもテーブルを拭く動作は有効です。
関連書籍

寝たきり老人を歩かせる
―歩行のための理学療法システムの提案と実践
21世紀リハビリ研究会【著】
シビル出版(1996/04発売)
サイズ B5判/ページ数 129,/高さ 24cm
この方法の研究に関しては
バイオフィリア研究所https://www.biophilia.biz/
バイオフィリアリハビリテーション学会https://www.biophilia.info/
国際バイオフィリアリハビリテーション学会https://www.biophilia.pw/index.h
立ち上がり歩くためのリハビリプログラムに興味を持った人には
- お勧め理由―座ったまま器具を使ってすぐできる運動は隙間時間を有用に埋めます
- タキザワプログラムー超高齢社会は介護してくれる人も高齢ー自分でできるリハビリ
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