#高齢者 #関節の動きを保つ #ストレッチ
高齢になって身体を動かす機会が減ると身体が硬くなってきます。関節や筋肉は毎日動かしていると動かしている範囲の関節の動きや筋肉の伸び縮みは保たれますが、仕事を引退して身体を動かす機会が減ることや、体調不良や病気をきっかけに身体を動かさない日が続くといつの間にか元のように動かなくなっているということがよくあります。
また腰痛や膝痛等があるといつのまにか関節の動きが低下して姿勢が悪くなり他の部分に負担がかかることも良くあります。
高齢になり関節の動きが悪く柔軟性が低下するとどうなるか
若い人や、現役でスポーツをしている人はできるだけ正常な可動域まで戻す必要がありますが、高齢になり動作範囲が限られている人は本来の関節の動きが十分できていなくても不自由を感じないようです。なので、全部の可動域を痛い思いをしてまで戻さなくても満足されている方にはその範囲までの動きの維持でも大丈夫です。
関節の動きは毎日動かすことで動きは保てますが、毎日動かさない日が続くと動きが悪くなってきます。動かさない原因が痛みなどの炎症を伴うものであれば炎症を修復する身体の内部の働きで腫れたり水がたまったりすると周辺の組織が癒着して動かしにくいもしくは動かせない状態に変わっていきます。
炎症が強く悪化しやすい状態でなければ、プーリーやコロ(下肢の運動器具)を使って無理にない範囲で動かすことで癒着やを防ぎ、血流を促すことで炎症で産生された疼痛物質を分解できるところまで運ぶことができます。
痛いからと動かさずにいると関節の癒着で動きが悪くなるうえに、本来ならその動きをするために伸び縮みしていたはずの筋肉の柔軟性が失われていきます。
身体(関節)の動き柔軟性が低下してくると昨日のようにできた(と思っている)動作をしただけで痛みが出ることがあります。それは普段からしていなかったために関節や筋肉がすでにその動きをするための柔軟性や可動域が低下していて、関節や筋肉に負担がかかったせいということがよくあります。
特に肩関節や股関節など動きの自由度が高く。複合した動きが多い関節は一方向の動きが制限されるだけで痛みが出やすくなることがあります。
特に肩は回旋の動きに制限が出ると肩を挙上しない位置でも捻じれの動き(例えば車の後ろの座席の荷物をとろうとするとき等)で肩が強く痛むことがあります。また残念なことに経験的には肩関節の炎症が起きるとこの捻じる動きに制限が残ることが多くこの制限が取れるまで痛みが続く人が多いです。
慢性的な腰痛で神経ブロックなどの注射が欠かせなかった人がいましたが、身体を動かしてみてもらうとおそろしく身体が硬くなっていて、デイケアで身体を温めた後にストレッチを行ったあと、自分でもその動きを維持するための体操(いわゆる腰痛体操)を行う習慣ができただけで注射の頻度がへり、立ち上がり動作もスムーズになった人が多くいます。
身体の柔軟性が低下するとそういった関節の動きの悪さや筋肉のトラブルによる痛みが出やすくなりますので普段の生活に支障なくてもストレッチなどで柔軟性を維持することはそういうトラブルから起こる関節や筋肉の痛みの予防になります。また転倒しそうになった時ダメージを減らすための身体を捻じって衝撃を減らす(受け身)動作にも柔軟性は欠かせません。
また歩行や運動の前に準備運動として柔軟体操をすると筋肉のこわばりが取れ、血流が増すことで運動後のトラブルが起きにくくなります。なかなか自分ではできない場合は温熱療法(ホットパックや入浴、部分浴例えば足浴等)の後に行うことで同様の効果が得られます。
運動前にできなかった時も後に行うことで筋肉痛などを緩和できます。
高齢になっても関節の動きや柔軟性を保つためにはどうすれば良いか
ストレッチまで行かなくても一日一度、関節の動く範囲をすべて動かすだけで関節の動きは保てます。(神経障害のため筋肉の異常緊張のある場合は、もう少し回数や長めストレッチがいります。なるだけ全身を動かす機会を維持して柔軟性の低下を予防しましょう。)
また身体を動かしてみて動きが悪いと感じたところや痛みの出やすい部位は意識してストレッチを行いましょう。
ストレッチングを実施する際に注意すべき原則は5つあります。「1. 時間は最低20秒」「2. 伸ばす筋や部位を意識する」「3. 痛くなく気持ち良い程度に伸ばす」「4. 呼吸を止めないように意識する」「5. 目的に応じて部位を選択する」ということです。
上肢の運動として肩回りについて私はプーリーの運動が1番良いと思っています。自由度の高い肩関節の様々な動きに対応できるし自分で痛みのない範囲で調整しながらストレッチして高い位置まで挙げたところで引っ張る力を弱めてもその位置を保とうとすれば弱った筋力を少しずつ鍛えることもできます。
でもプーリーという道具を持たない人が大半ですのでタオルを使った運動を紹介しておきます

腰痛予防にもなるの座ってできる体幹や下肢のストレッチに関しては
椅坐位で体幹を前に倒していきます、腰痛気味等で背もたれにもたれたまま座る癖がついている人は腰の後ろ側の筋肉が硬くなっている人が多いですが、座って行うことで自重を使えるのでやりやすいと思います。座っている時なら思いついたらいつでもできます。最初はつかなくても毎日少しずつおなかと大腿部がつくのを目標に伸ばしていきましょう。

その次は、座ったまま大きく身体(体幹)を捻じりましょう。捻じる側の大腿部の外側に手を当てて背中は背伸びをするように伸ばしながら気持ちのいい範囲で伸ばしましょう。次は反対です。(腰の横側の筋肉を伸ばす意識で)

その次は浅く腰かけて片足の膝を伸ばして足首を前に反らせながら身体を伸ばした足のほうに倒して膝の後ろの筋肉を伸ばします。次に反対も。

腰や膝に痛みがある人や椅坐位での作業が長くなる傾向がある人はとついつい前かがみの姿勢が定着して、バランスをとるために膝も曲がったままの姿勢になっています。そして、膝が曲がっていると前を向くために腰を反ってしまうという悪い姿勢の悪循環が起きます。膝の後ろの筋肉が伸びにくくなっていたら悪循環は始まっています。
その次は立ち上がって片足を後ろに引き、アキレス腱を伸ばすそのとき、股関節の前側を伸ばすよう体幹は真っすぐ立てて行いましょう。そうすると、前かがみの原因になっていた腸腰筋という股関節を曲げる筋肉が伸びます。

筋肉をストレッチする時の基本はリラックスです。息を止めずにゆっくり息を吐きながらおこないましょう。または1,2,3,4、・・・というように声に出してゆっくりカウントしながら行うと良いでしょう。腰痛のみならず膝痛や猫背でも短縮してきやすい筋肉のストレッチですので普段から伸ばす習慣をつけておくとよいと思われます。
また、立ち上がりや歩くのに重要な足関節の動きはパタやコロの運動を定期的にする運動によるダイナミックストレッチの効果で関節の動きを維持するのに役立ちます。
参考・引用:厚生労働省 e-ヘルスネット ストレッチングの実際
公益社団法人 理学療法士協会 理学療法ハンドブックシリーズ13 肩関節周囲炎 セルフエクササイズ
https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook13_11-14_compressed.pdf
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