ホットパックの効用―運動開始前に温熱療法を利用するとより効率よく運動できます

ホットパックのイメージのイラスト 経験からリハビリのコツをアドバイス

#リハビリ #温熱療法

デイケアで運動してもらう前には痛みがある部位や拘縮のある部位にはホットパックをしてから個別訓練を行っていました。(急性炎症症状がある場合は禁忌です)

個別訓練を待たせることがあってもホットパックしながら待つ場合は皆さま上機嫌です。逆に早すぎると文句がでることもありました。

訪問リハの際にはレンジで温められるホットパックを持ち歩いていました。ただ施設で使う医療器具と違って冷めやすいのが残念でしたが冷たくこわばった身体を動かす前に温めるというのはリラックス感が違います。デイケアの利用者さんにも冬になるとドラッグストアで販売されるレンジパックを勧めていました。

タキザワプログラムの原点PT滝沢恭子氏も可能な限りよく利用していました。

ホットパック(温熱)療法のリハビリ効果

ホットパックは、患部を温めて血行を改善することで、痛みを緩和する効果があります。慢性的な腰痛や肩こりなどの痛みには効果的です。

ホットパックの疼痛緩和のメカニズムは次のとおりです。

  • 患部を温めることで血管が拡張し、血流が増加する
  • 酸素や栄養素が供給され、老廃物が排出されやすくなる
  • 筋肉の緊張が緩和される

温熱療法でも湿熱(湿度を帯びたホットパックや温浴)はリラックス効果が高いといわれています。

近年の研究により温熱療法は、筋肥大作用廃用性筋萎縮の抑制効果、関節可動域の増大や痙性の抑制作用などがあることが明らかにされました。

筋力の増強効果と筋肥大

最近の研究により温熱刺激が筋力増強に有効であることが明らかになってきています。

温熱刺激による筋量増加効果は,健常筋だ けでなく萎縮筋などタンパク質分解が相対的に促進して いる骨格筋でも認められることが明らかになっている.

引用、参考:温熱刺激による骨格筋肥大と生理学的意義 大野 善隆*

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjeapt/21/1/21_13-13/_pdf

筋硬度の低下と血流量の増大

ホットパック療法は研究結果により筋硬度及び深部血流量に変化を認めたことから菌のリラクゼーション効果および深部組織の加温が期待できることが明らかになった。また除去後の温熱効果の持続性を認めたため、運動療法施行じの前処置としての妥当性が示唆された。

参考:ホットパック療法による筋硬度、血流量に対する効果の検討 小平智之他

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2012/0/2012_48100987/_pdf/-char/ja

関節可動域の拡大と痙性(特に伸張反射)の抑制に付加的な効果を及ぼす

関節の拘縮とは、特定の関節における正常可動域が減少した状態を指します。脳性麻痺児・者においても,ホットパックは関節可動域の拡大と痙性(特に伸張反射)の抑制に付加的な効果を及ぼすことが示された.これは,温熱刺激の生理的作用により,筋の伸張性や結合組織の伸展性が増大し,また筋紡錘の活性が低下したことにより痙性が抑制されたためと考えられる. 研究結果は,脳性麻痺児・者においても,ストレッチ前にホットパックを施行することが有用であり,硬くなった痙性筋のストレッチ効果を高めることを示唆している

脳性麻痺児・者に対するホットパックの有効性の検討 黒川 洋明他

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Bb1170/_article/-char/ja/.

ホットパック(温熱)療法の禁忌と自分での取り入れ方

良いことばかりのようですが禁忌はあります。

ホットパックの禁忌は以下の通りです。

  • 急性期の炎症(出血、腫脹などが強い場合は特にダメ)
  • 知覚障害がある場合
  • 皮膚疾患、感染巣がある部位
  • 腎、心疾患による強い浮腫、循環障害がある場合
  • 出血傾向の強いもの(血友病)
  • 収縮期血圧90㎜Hg以下のとき
  • 悪性腫瘍

引用:エビデンスから身につける物理療法 第2版

PT・OTビジュアルテキスト:エビデンスから身につける物理療法 第2版
痛みのしくみやROM制限,運動療法との関連,適応や効果,禁忌と注意点が根拠からわかる!国試対策のポイントを明示している他,治療をイメージできる動画39本付き!第2版では,痛みの評価,衝撃波療法を追加!

思い当たる場合は主治医に相談してください。

湯たんぽのイメージ

不安な方は主治医に相談してみてください。

ただ施設や病院でなければ本格的なホットパック療法はできません。レンジでできるホットパック(市販品)や湯たんぽ、手浴、足浴等は痛みやこわばりが強い時や動き出す際痛みを感じて動きにくい時温めることで痛みを緩和できる場合があります。準備体操の代わりにもしくは準備体操前に温めてから行うと動きやすくなりますので参考にしてください。

デイケアの利用者さんも慢性的な疼痛を訴える人が多くいました。痛いと身体を動かすことが億劫になり、筋力もつきにくくなります。特に寒い冬の間などは運動の前に何らかの温熱をしてから動くことがその後の運動の効率を高めるのは間違いないと思います。

痛いからといって消炎鎮痛剤の湿布を貼り続けていると筋肉が冷えて血流が悪くなります。それにより筋肉がこわばって酸素や栄養素が供給されにくくなり、疼痛(炎症)でできた老廃物が排出されずに居座ってしまいます。慢性的な痛みなら湿布を外して温めてから動き出しましょう。

ただ運動の後腫れて痛みの出る人には湿布は最適です。(私も膝痛の時はお世話になりました)自分の痛みの様子を見ながら賢く使いましょう。

他にもリハビリのコツに興味を持った人には

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