#廃用症候群 #高齢 #リハビリ
廃用症候群とは過度に安静にすることや、活動性が低下したことによる身体に生じた様々な状態をさします。
高齢になり活動性が低下するとこの廃用症候群が知らないうちに進行し、気がついた時には、「起きられない」「歩くことができない」などの状況が少なくありません。
たとえば絶対安静の状態で筋肉の伸び縮みが行われないと、1週間で10~15%の筋力低下が起こると言われています。高齢者では2週間の床上安静でさえ下肢の筋肉が2割も萎縮するともいわれています。
過度に安静や、あまり身体を動かさないことが続くと、筋肉がやせおとろえ、関節の動きが悪くなります。そしてこのことが、さらに活動性を低下させて悪循環をきたし、ますます全身の身体機能に悪影響をもたらします。最悪な状態では、寝たきりとなってしまうことがあります
活動性が低下して起こる廃用症候群の症状の種類と対策
筋萎縮・・・筋肉がやせおとろえる
→サルコペニアやフレイルなど筋肉が萎縮し過ぎると戻らなくなるのでなるだけ早くに運動を始めましょう。パタやコロの運動等の軽運動でも弱るスピードを遅くできますので無理のない範囲でできる運動を始めましょう。もちろん栄養も大事です。
- 関節拘縮・・・関節の動きが悪くなる
→関節も一日数回でも動く範囲全体を動かすことで動きが悪くなるのを防ぐことができます。(神経症状のある人は特に念入りに)プーリーやコロの運動も関節をしっかり動かすのに役立ちます。
- 骨萎縮・・・骨がもろくなる。
→臥床より坐位、坐位より立位をとることでより多く骨に刺激が入ります。さらに運動が加えられたらいうことなしです。栄養を取る。日に当たることも忘れずに
- 心機能低下・・・心拍出量が低下する
→散歩など心拍数が少し上がる程度の運動をしましょう
- 起立性低血圧・・・急に立ち上がるとふらつく
→ゆっくり様子を見ながら立ち上がれるように下肢の筋力を鍛えましょう。(ゆっくりした動作には筋力がいります)また経験的には着圧ソックスなど履くことで症状が軽減した人もいます。機会があれば試してください・
- 誤嚥性肺炎・・・唾液や食べ物が誤って肺に入り起きる肺炎
→座る姿勢が悪く背中が丸まっていると気道に入りやすくなります。なるだけ姿勢を伸ばしましょう。また腹筋などの体幹の筋肉が弱ると咳など誤嚥したものを吐き出す力が衰えますので強化しましょう。飲み込みやすい食べ物や形状の工夫も必要です。
- 血栓塞栓症・・・血管に血のかたまりがつまる
→身体を動かすことで血流を改善しましょう。血栓予防薬など処方されている方は飲み忘れに注意しましょう。パタコロやプーリの運動は座ったままでもできます。
- うつ状態・・・精神的に落ち込む
→うつは発動性(動こうとする気持ち)を低下させます。早めに治療や予防しましょう。1日4000歩以上の散歩には予防効果があるそうです。
- せん妄・・・軽度の意識混濁のうえに目には見えないものが見える、混乱した言葉づかいや行動を行う
→体調が悪い時や、手術の後などに一時的にこういう症状が強くなる人は多くいました。体調が戻ると改善することもあるので可逆なものか不可逆か見極めが必要です。不可逆なら早めに専門医に相談しましょう。
- 見当識障害・・・時間や場所、人物を認識・理解する能力が低下した状態のことです。今はいつなのか、場所がどこなのかわからない
→認知症の中核症状です。こうした状態になると、日常生活を営む上でさまざまな支障が生じてきます。経験上ではせん妄と同じように体調が悪い時や手術後に強くなる人が多かったです。やはり体調が戻ると完全には無理でも症状が改善する人もいました。
- 圧迫性末梢神経障害・・・寝ていることにより神経が圧迫され、麻痺がおきる
→同じ姿勢で寝ていると肘など表面に神経が出ているところが圧迫されて起きます。短時間なら回復するのでこまめに姿勢を変えましょう。
- 逆流性食道炎・・・胃から内容物が食道に逆流し、食道に炎症を起こす病気です。高齢者でよく見かける病気です。
→未治療の場合には、日常生活に制限が生じる狭心症よりも生活の質(QOL)が低下することが報告されています。早めに主治医に相談しましょう。食後2~3時間は横にならないようにする。姿勢が丸まっていると症状が出やすいので改善しましょう。
- 尿路結石・尿路感染症・・・腎臓、尿管、膀胱に石ができる、細菌による感染がおきる
→デイケアの利用者さんにもたまにいましたがトイレに頻繁に行くのが嫌で水分摂取を控えたり、のどが乾かないからと水分をとらないなどの水分摂取不足や紙パンツ等を頻繁に変えるのがもったいないと変えないで不潔になると発症しやすくなるので水分を十分とって清潔を心がけましょう。
- 褥瘡(じょくそう)・・・床ずれといわれる皮膚のきず
→同じ姿勢で長く臥床や座位が続いて皮膚の圧迫が続くと起きます。こまめに体位を変えましょう。また栄養状態が悪くなるとできやすくなっていましたので低栄養にも注意しましょう、2時間に一度は姿勢を変えて同じところの圧迫が続かないようにしましょう。また減圧のできるペッドパッドやシートクッション等の利用も有効です。

廃用症候群を予防するために必要な運動(リハビリ)
廃用症候群は、治療を必要とする疾患によって安静臥床を余儀なくされている状況で、運動をしないこと、寝ていること、日常生活に支障をきたす手足の位置や関節の角度(不良肢位:ふりょうしい)で長時間を過ごすことにより生じます。
また高齢になり在宅時間が延長して運動や活動量が減ると知らず知らずのうちに廃用症候群が進みやすくなります。普段から意識して外出や散歩、サークル活動に参加することも予防になります。
廃用性症候群を予防するためには、できるだけ寝た状態を存続させないようにします。座ることができるなら座位時間を増やして、座った状態でで上肢や下肢を動かす運動を行います。安全に立てるようなら立位時間を伸ばして体操や散歩をしましょう。
椅子での坐位がとれるようになったら座ったままから始められるタキザワプログラム(メソッド)で身体を動かして廃用を予防しながら立って動ける身体を取り戻しましょう。
引用参考:健康長寿ネット 廃用症候群
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/haiyo-shokogun.html
座れるようになったら始める廃用防止タキザワプログラム(メソッド)に興味を持った人には
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